私は毎日,目についたカタカナ語を手当たりしだい訳している。相当な蓄積が出来ているが,時間の問題ですべては解説できていない(主な訳語は『綜語辞典』等からも参照出来る)。
最近の訳語では,エネルギーに対する「演力」(えんりょく/えんりき)も上手く出来た方だ。エネルギーという言葉自体,物理学をはじめ日本語では多用されているが,まともな訳語は考案されてこなかった。
「エネルギー」は,活動や仕事を表わすギリシャ語に由来し,「仕事をする能力」のことだと説明されることが多い。「演」という漢字は概ね「展開する」という意味を持ち,「役を務める」(演じる)という意味でも広く使われるから,「演力」で「仕事をする能力」と連想しやすい。また,「えんりょく」あるいは「えんりき」という読みも音写的に優れている。
この訳語を使えば,運動エネルギーは「運動演力」,位置エネルギーは「位置演力」,エネルギー資源は「演力資源」と訳せる。ただ,熱エネルギーを「熱演力」と訳すと「熱演する力」と読めてしまうのが玉に瑕か。