{ヴィタス}{娯楽}{公開}{Dedication}{音楽}(5)

{ヴィタスはなぜ日本で支持されないのか K#F85E/8D28}

ロシアに,ヴィタス(Vitas)というアーティストがいる。日本で彼を有名にしたのは,『Dedication』という曲を歌った次の映像だ。

聴いての通り,超高音で歌える,というのが彼の最大の売りになっている。この映像が話題になり始めてからもう10年近く経つが,当初期待されたほどには日本での支持は広がっていない。恐らく,この「超高音歌手」という売り方が間違っていたのではないか,と私は思う。 『Dedication』という曲自体は単純に美しい。{器楽曲 #F85E/A-B25E}であっても,きっと私は好きになっただろう。ところが,これを紹介するとき,メディアはどうしても「驚きの超高音」といった売り文句を付け,ただの見世物にしてしまう。だから,音楽としてではなく,ありがちな衝撃映像の一つとしてしか受容されなかったのではないだろうか。ヴィタス自身もこれに頼った活動をしてしまい,音楽家としての生命をすり減らしている気がしてならない。私自身はそこまで気にならないが,どうやら,この声を「気持ち悪い」と感じる人も少なくないようだ。口パク疑惑などもあるが,これも私はどうでもいいと思っている。ここまで来れば,歌っているというより,喉を楽器にしているようなものだと思えるからだ。それよりは,曲作りのセンスに注目してあげて欲しい。 好き嫌いは別にしても,声というのは良くも悪くも強い印象を与えてしまうものらしい。声によって有名になり,声に足を引っぱられているというわけだ。『Dedication』も,楽器で演奏していれば衝撃こそ無いかもしれないが,{リチャード・クレイダーマン #F85E/A-1153}の{『渚のアデリーヌ』 #F85E/A-48A8}ぐらいには広く親しまれる曲になっていたのかもしれない。