そういう意味で,現状の個人知識管理サービスは,どれを使ってもいいし使わなくてもいい,お気に入りの紙のメモ帳を選ぶくらいの感覚でしか選ばれてない。厳しい言い方をすれば,アクセサリーの域を出ていない。“本物”なら「使わないことが考えられない」はず。
思いつきで,★(黒星)と☆(白星)を明るい色付きで表示する記法を導入することにした。最初は五つ星評価のための「五つ星記法」として考えたが,お気に入りの意で使われる場合も少なくないため,汎用的にしておく。
ただし,『幽☆遊☆白書』,『遊☆戯☆王』,TOM★CAT,つのだ☆ひろなど,この記号を使った固有名詞が意外と多いため,「空白類以外の文字と隣接しない」という条件が必要だろう。デヴィッド・ボウイのアルバムに《★》と書いてブラックスターと読ませるものもある。
色は,gold では明るい背景で見にくく,goldenrod では暗過ぎるため,orange を使っておくことにした。
遊びに近い記法で「星記法」というのも味気ないので,「キラキラ星記法」と名付けた。
デライトは,思いつきを思いつきのまま書ける場所にしたいので,形式にこだわらず,なんでも気軽に書いて頂けると嬉しいです(まだ連絡機能が無いので流れが早いと見逃してしまうかもしれませんが……)。
輪郭の同一性については,常々考えてきたところで,実は私も多少の迷いを持っています。デライトもその背景にある輪郭法も,まだ完全なものではなく,試行錯誤の途上です。なので,こういうご質問も非常に有り難いと思っています。これまで議論をするような相手がいなかったもので,自分では気付かないところがあったり,独り善がりになってしまっていた部分もあると思います。特に,K#9-D657 さんのご指摘はいつも鋭いので,非常にためになります。
デライト(デルン)はもともと,「自分の頭の中にある概念(情報のまとまり)を輪郭として捉えて,それに識別子(知番)を付けて関連付けられるようにしたらどうだろう」というのが発想の大元です。
なので,お察しの通り,「輪郭の同一性は自分にしか判定出来ない」という大前提に基いて設計されています。従って,自他の輪郭が同値であるかどうかも知りようがない,ということになります。
例えば「翻訳語」という語に対応する輪郭は,基本的にはそれぞれが自分で管理するわけですが,これの利点は,「翻訳語」で検索した時に,それぞれの人が「翻訳語」についてどのような認識を持っているか分かりやすい,というところです。
互いを関連付ける一つの方法はやはり引き入れだと思います。例えば私は K#9-D657 さんの輪郭「翻訳語」を,自分の輪郭「翻訳語」に引き入れています。これは,自分が思い描く翻訳語のうちに K#9-D657 さんの翻訳語がある,という認識の印です。客観的には2人の認識なので2つあるように見えますが,私の主観では1つの輪郭にまとまっています。
また,もともとデライトは,普通のメモサービスのように,自分の輪郭以外見られないようなサービスとして公開するつもりでした。なので,どちらかというと他人との交流はおまけとして後から調整していこうと考えていたのですが,いまの開発体制で十分な個人情報保護は難しいということになり,急遽「みんなの輪郭がごちゃ混ぜに見える」状態で公開することになりました。最初から「隠さない」ことで運用を楽にしたかったわけです。せめて検索窓の下にあるチェックボックスで自他の区別が出来るようにしたかったのですが,これもまだ実装が追いついていません。
つまり,恥ずかしながら,K#9-D657 さんとこう対話するようになったことで,私もいまデライトで「他人との交流」をどう設計していくべきなのか,日々考えているところなのです……。
ハッシュタグとの関連についてですが,デライトにおいてハッシュタグに相当するのは検索語そのものだと思います。ハッシュタグというのは,個人の認識に紐付いていない,あくまでも「ただの文字列」です。例えば,#翻訳語 というハッシュタグは,「翻訳語」という語から各人が想起することを自由に書き込める場として機能しています。デライトでは,知番を付けずに語を波括弧で括ることで,その語での検索に飛ぶという記法を近いうちに実装する予定です。これが感覚的にはハッシュタグに近いものになるかもしれません。
それでもハッシュタグと違うところがあるとすれば,デライトでは「全知検索」や「ホワイト リスト検索」と呼ぶ認知に基く検索を基本にしているため,輪郭で紐付けられていない情報には(その語が含まれていても)辿り付けない,ということくらいでしょうか。
実は,K#9-D657 さんが描き出してくれるようになったことで,引き入れについては再考した部分があります。
「他人の輪郭に自分の輪郭を引き入れられない」という制約を廃止しようと思ったのは,全ての輪郭を自分で描いていくというのはしんどそうだと思ったからです。K#9-D657 さんのように,描き手が他人の輪郭を見て「これでいいや」と思ったらその中に放り込める,そのうち違うと思ったら自分で新しい輪郭を作れればいいんじゃないか,という考え方に今では変わっています。
ただ,この制約の利点も感じていて,それは,ある種の「いいね」とか「お気に入り」に近い機能性があるところです。例えば,私は K#9-D657 さんが翻訳語について描いているのを見つけると,自分の輪郭に引き入れていきます。今は自分にしか出来ない操作なので,これは認識したよという印になります。これは一つ,交鳴(コミュニケーション)機能として活かせそうだな,と感じているところです。
こうした利点を残しつつ制約を廃止するのであれば,「誰が引き入れをしたのか」という情報を出場(データベース)に残しておきたいわけですが,実はいまのところ保存されているのは輪郭同士の関連性だけで,誰が引き入れ操作をしたのかという情報は保存されていません。つまり,今の時点で制約を廃止すると,私の輪郭に K#9-D657 さんの輪郭が入っている時,私が自分で入れたのか,K#9-D657 さんが入れたのか分からなくなってしまう,ということです。
この情報が意外と重要な気がしてきたので,少し設計を見直す必要がある,というところで制約廃止に時間がかかっています。
疑問に答えられているか分かりませんが,取り急ぎ,ご質問に対する回答は以上です。こちらこそ未熟者で申し訳ないですが,今後も気楽に書き込んでいただければ幸いです。