1999年〜。
当時運営難にあったあめぞう掲示板を引き継ぐ形で開始。開設者は西村博之。
2000年,利用者のネオむぎ茶が起こした西鉄バスジャック事件によってマスコミに取り上げられた。この事件は,2ちゃんねるおよび「匿名掲示板」の存在が全国的に認知されるきっかけとなった。
2001年8月頃,転送量の増加によって閉鎖の危機に陥る。この時,UNIX 板などを中心に各掲示板の利用者がシステム改良に協力した。
『2ちゃんねる』の「名誉」管理人・西村博之(ひろゆき)くんが迷走している。昨年の大規模流出事件のとき,私は個人情報問題よりも,『2ちゃんねる』の経営問題について描いていた(「2ちゃんねる個人情報流出事件については……」)。どうやら今回の騒動は,その延長線上にあるようだ。
状況について簡単に言えば,『2ちゃんねる』の運営内部で,昨年の流出事件に端を発する複雑な権利問題が発生した。経営の実権を仲間に奪われてしまった西村くんが複製に近い新たなサイトを作ったことで,現在『2ちゃんねる』は分裂している。もともと衰退傾向にあった同サイトなので,一元性が失なわれたことで加速的に衰退していく可能性が高い。西村くん側には大して支持者も付かず,新サイトは過疎状態,元サイトでは盛大に西村叩きが行なわれている惨状だ。ちょうど『2ちゃんねる』が生まれた1999年頃の,運営難にあった「あめぞう掲示板」を彷彿とさせる末期感だ。
彼は高度な技術者でもなければ,特別なアイデアをもった起業家でもない。『2ちゃんねる』は「あめぞう掲示板」という匿名掲示板を模倣する形で生まれた。それもプログラミング技術的には稚拙なものだった。文章を書かせても,司会をやらせても上手くない。何かと攻撃を受ける,「巨大な匿名掲示板の管理人」という汚れ役を引き受けられる特殊な才能,その一点だけで注目を集めてきた人物だ。『2ちゃんねる』の運営体制は,法的問題の回避等のために極めて複雑・不透明なことで知られているが,今回の件でそれが想像以上にやっかいな諸刃の剣であることも露呈した。責任逃れのために『2ちゃんねる』の管理から離れたように見せかけておいて,唐突に権利を主張し始めた西村くんの発言には一貫性がなく,不信感を煽っている。
個人的に,『2ちゃんねる』自体は害もあるが有用なサイトだったと思う。必要に応じて『2ちゃんねる』を上手く利用できないとしたら,私はその人の情報収集能力を疑う。その程度には,有用な面もあるサイトだった。だから,そのサイトを維持してきたという点で,西村くんの功績もあると思う。ただ,とても残酷な話だが,『2ちゃんねる』式匿名掲示板の運営というのは,どこまで行こうと汚れ役だ。汚れ役だからこそ,それをやってのける彼が分不相応ともいえる注目を得られたのだ。どれだけ金を稼ごうと,誰かの役に立とうと,「立派な起業家」としての尊敬は得られない。今回の騒動に対する世間の反応は,見事にそれを示している。
いつも私が言うことだが,こういう時に腹が立つのは張本人より取巻きだ。これまで,彼を「タレント」として扱ってきたメディア企業(ドワンゴなど),公に付き合って来た人間(堀江貴文くんなど)には,彼から利益を受け,彼に利益を与えたという点で責任がある。最後まで彼を信じ,応援するというなら,私は批判するにしてもその信念には敬意を持つが,手の平を返したような言動を見つけたら誰だろうと無慈悲に糾弾するだろう。