さきほど書いた「140文字の呪縛」という文章にも関連するが,ツイッターの流行以降よく見かける短縮 URL の必要性についてはもっと議論されるべきだと考えている。
私はいま短縮 URL 不要論者なのだが,希哲館でも以前は ktk.ph というドメイン名で短縮 URL を運用していたことがある。.ph はフィリピン共和国の ccTLD で,フィロソフィア〈philosophia〉の意で使用していた。これ自体は気に入っていたのだが,管理機関の都合で更新手続きに手間取ったことがあり,これがきっかけで短縮 URL の可用性に危機感を抱いた。短縮 URL では,ccTLD を語呂合わせなどに利用する,いわゆるドメイン ハックが行なわれることが多いが,その管理機関の安定性などは不明瞭なことが多く,これが一つのリスクになりうる。
他に短縮 URL を使用することの弊害としては,URI の単一性・識別性・信頼性が損われるということがある。普及させてしまった短縮 URL は保守し続けざるを得なくなる。同じ情報にアクセスするために複数の経路・記号があることになり,管理者としては想像以上に保守が煩わしく,利用者にはかえってややこしい印象を与える。ドメイン一つの維持費用は高が知れているが,ccTLD は単価が高いことが多く,例えば誤入力の補完用ドメインを取得しようとすると費用もそれなりになる。これなら,gTLD で基幹ドメイン名を集中的に管理した方がずっと費用対効果が高い。色々と検討した結果,ktk.ph は早々に廃止することとなった。
システムの文字数制限の都合で必要とされてきた短縮 URL だが,代替手段・改善手段はいくらでも考えられるため,将来的にはまったく不要なものになっているだろう。多くの企業が独自の短縮 URL を運用しているが,私は出来るだけ早く廃止するのが得策だと思っている。