型やかたどることを意味する「模」(も/ぼ)は,現代の翻訳において実に有用な漢字だ。特に,様式等を意味するラテン語の〈modus〉から派生した外来語を訳すのに使える。
例えば,私はモデル(model)を「模体」(もたい),モデリング(modeling)を「模定」(もてい),モジュール(module)を「模充」(もじゅう),モード(mode)を「模動」(もどう)と訳している。これらは全て〈modus〉を語源に持つ英単語だ。特に工学分野ではどれも重要な概念なので,技術文書の可読性改善に役立つだろう。
語源は異なるが,モチーフ(motif)も私は「模調」(もちょう)と訳している。中国語では〈模体〉(モーティー)と訳されることもあるが,日本語の語感では意味的にも音声的にも「調」の方が適切だ。
おまけに,<ruby><rb>考機</rb><rp>(</rp><rt>コンピューター</rt><rp>)</rp></ruby>のマウスも「模鼠」(もそ)だ(ちなみにキーボードは「鍵母」)。
これら「模」を使った訳語は,中国語で読んでも原語の音写になっているので,将来的に輸出出来るかもしれない。