「詞学」(しがく,英訳:linguology)は,綜学を構成する三つの学問の内の一つ。英訳 linguology はラテン語「lingua」(舌,言葉)からの造語。
我々の発する言葉の種類(言語)、伝達に関する技術(情報技術)、保存形態(知識・記号)について円環的な研究を行う。言語(あらゆる種類の語彙・文法),歴史を含む百科的知識,数学・情報学などを包含する。
2008年頃から宇田川が本格的な体系化を進める。
メモ
言語 (記号) の保存効率の研究。
知識・事実の言語化一般に関する研究。
(2007年11月20日頃の擬似輪郭法記録より)
情報はありのままの姿を伝えるものである。過度に情報の商品化が進むと、かえって情報が真相を隠す靄になる。
情報集約力、情報離散力ともいう。離散力の強さは現代の情報の爆発的増加にみられる。符号化技術 (旧来的な情報技術) の本質的な目的は、情報集約にあった。符号化技術は、情報技術の一部であり、同一ではない。
情報技術という言葉は、情報集約力を高めるための技術を表わすものとすべき。現在の情報技術は、寧ろ情報離散に加担している点で大きく方向性を誤っている。
課題:応用科学の論理を置きかえられることはわかったが、純粋数学や物理をどう処理するか。
(2007年7月30日頃のメモ)
情報は肥大すると害
かといってすべて共有すればいいものでもない(個人は、例え車輪の再発明とはいえ、自ら情報を獲得するための蓄積は必要で、それが阻害されてはならない)
情報が分離することを情報分離、情報を統合することを情報融合といい、前者による問題を情報肥大、後者による問題を情報萎縮という。どちらも、情報の釣り合いという観点から、相対的に逸脱しているという否定的な表現に用いる。
個人を軸として、この両者が釣りあい、必需の情報が得られる状態にあることを「情報均衡」といい、伝導系の開発によってこれを目指すことを「情報主義」といい、詞学はこれに基づいている。
(2007年7月30日頃のメモ)
語は意味が分解されるまえでは、シチュエーションとともに理解される。この段階で、情報伝達において重要な意味をもつのが、語の音や字の選択であり、より普遍的なイメージに似せることで伝達をスムーズにすることが出来る。
(2007年7月26日頃のメモ)
国家間を、共通の上位概念で括ることのできない場合、関係史を記述するとき、交易・戦争など、「関係性」をあらわす詞のもとに対で配置する。
(2007年7月24日頃のメモ)
語学学習の際に、異なる言語間の意味を感覚的にとらえるため、一定内容の場面が図化されたもの。どのような語彙にあてはめるかが定義されており、その方式も、一定手順に基づく普遍的なもの。
(2007年7月23日頃のメモ)
(実像)
像= 直感的な把握
印= 像を音声化、記号化したもの
(写像)
詞= 像、印に対し、関係化されたもの。
詞は、像や印を内部に写しとり、相互関係を組織していく。
この組織化の原理は、「凡化」であり、「統合作用(同一化)」と「分解作用(差異化)」の二つの作用の複合によって、複雑な言語情報を組織していく。
凡化とは、物事を「同一化」することであり、これは当の物事に対する諸判断に先立つ。同一化は、必然的に「差異化」と隣り合わせである。
そして、物事が「何と」同一化するのかといえば、諸語の関係性の中で、他の語に対してそれが前提とされるような中核的な語を「凡」といい、凡と同一化されることを「凡化」という。凡化によって、語は確実な基盤をもって組織化される。
(2007年7月23日頃のメモ)
詞は垂直な包含関係ではなく、要素を横断的に借用しあって成り立っている。
というのも、詞ははじめ像として直感的にとらえられ、この段階では階層関係が存在しない。階層関係というのは、絶対的なものではなく、試行錯誤を繰りかえして関係として理解されていく、知覚作用である。
階層というのは、並列的に与えられた像的な詞に対して、関連づけられる関連性の総体である。このため、この関連性のなかで、重複が許容されることで、横断的な関係が発生するのである。
数理的には、この階層的言語化不可能な像的詞を近似的に再現するために、ある程度まとまった詞の階層関係を利用して、それに基づき数値的に差異化して扱かっていくことが可能である。
したがって、詞には、対像関係、対構造関係の区別が存在する。
ある構造の要素が、像ではなく、別の構造の要素に関連づけられたとき、それは「借用」といい、純粋な包含関係ではない性質をもっている。