「ホームページ」はもはや誤用ではない

描主宇田川浩行#F85E
上描き希哲8年(2014年)
06月06日 22:39
下描き希哲8年(2014年)
06月06日 22:28
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

ホームページ(homepage)という言葉は,専門用語でいう「ウェブサイト(website)を指すものとして,日本では広く定着している。日本の官公庁や自治体等の公式ウェブサイトでも,「ホームページ」の語が使われていることが多い。

こうした状況はワールド ワイド ウェブが普及しはじめた時期からあり,情報系の専門家や,インターネットに詳しいアマチュアたちによって長らく「単純な誤用」として片付けられてきた。ある程度ウェブについての知識を持つ者にとって,ここまでが「ホームページ」という言葉を巡る常識だ。

しかし,言葉が広まるということには理由がある。「ホームページ」というのは,実はとてもよく出来た言葉なのだ。

まず,「ホーム」(home)も「ページ」(page)も,極めて初等的な英単語だ。「ホーム」なら,日本語では「マイホーム」,「ホームルーム」,「ホームシック」,「ホームレス」,「ホームヘルパー」,「アットホーム」,「ホームラン」などの野球用語,ハウスメーカーの社名等,いたるところで使われているし,「ページ」は,本をめくったことがあればほぼ全ての人が知っている。耳にしたことがある,というだけでなく,その意味についても子供から老人まで広く理解されている。これを組合わせたのが「ホームページ」という言葉だ。

一方で,「サイト」(site,用地)は,カタカナ英語としてはさほど使われていない。いま日本語で「サイト」(site)といえば,ほとんどウェブサイトを指しているか,「sight」(視野,照準,観光地……)の方を指しているだろう。ちなみに,東京ビッグサイトは「sight」の方だ。日本人にとって,「ウェブ」(web,クモの巣)はさらに耳なじみのない言葉だ。これを組合せると「ウェブサイト」になる。

問題は,元になっている言葉の平易さ,だけではない。「ホームページ」という言葉は,実は造語としてとらえても直感的で優れていると言える。ウェブサイトというのは,人間にとっては非常に新しく不思議なものだ。本のようでもあり,住所(アドレス)があって,人が往来したり活動したり出来る空間のようでもある。このような性質を,「ホームページ」という言葉がぴたりと表現しているのだ。「ホーム」には「拠点」というニュアンスもあるから,例えば「我が社のホームページ」といった場合にもイメージが伝わりやすい。

「ウェブページ」や「ウェブサイト」という言葉は,「ワールド ワイド ウェブ」(世界規模のクモの巣)という技術を前提として,その情報単位(ページ),ひとまとまり(サイト)を指している。イメージを掴むために必要な情報量が多く,お世辞にも上手い造語とは言えない。あくまでも,一定の前提知識を要する専門用語だ。

以上を踏まえて私は,日本語において一般向けには「ホームページ」,専門的には「ウェブサイト」と適材適所に使い分けていくことを考えている。これはもはや誤用とはいえないだろう。

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