Microsoft Loop か……。模倣とはいっても,Notion 自体独自性が高い製品ではないので,力勝負には弱いだろうなとは思っていたし,実は結構前から模倣品らしきものはちらほらあった。これは Notion 最大の試練かも。
昨日の一日一文では,日本人と独自性などについて書いた。その中では,日本人の性格における負の側面を強調してしまったが,もちろん,日本人にも良い面はたくさんある。
私が「ジパング計画」などと言って日本を最重要視しているのも,その日本人の性格を活かし,アメリカや中国に大逆転勝ちする道があると思っているからだ。
ある程度定常的に存在している事物には全て,進化論的な存在理由がある。つまり,この世界のいつかのどこかに適応しやすかったから存在しているわけだ。これは人間の性格についても言えることだ。
ある場面では勇敢で大きな功績をあげた人が,別の場面では無謀な行動で身を滅ぼすことがある。ある場面では臆病で役に立たなかった人が,別の場面では慎重さで成功することもある。性格というのは,状況や環境で良くも悪くも見えるものだ。
1980年代頃には,日本は世界最強の工業国だった。人口規模などの問題で「超大国」にこそならなかったが,超大国アメリカを凌ぐ富豪や企業が輩出し,金持ちといえば日本人だという時代が確かにあった。工業の時代がずっと続いていれば,日本がアメリカを凌ぐ超大国になるのは時間の問題だったはずだ。
ところがこの1980年代というのは,すでに「脱工業化社会」の到来が広く議論されるようになっていた時代であり,アメリカでは水面下で脱工業化に向けた産業転換が始まっていた。言うまでもなく,その中心は情技(IT)産業だった。
「シリコンバレー」が注目されるようになったのは70年代からだ。90年代になると,クリントン政権によって情技を中心とした産業改革が推し進められていく。「工業では日本人に勝てない」と悟った80年代のアメリカ人には,脱工業化という,あえて進むべき茨の道が見えていたわけだ。
日本はといえば,90年代初めにバブル崩壊という憂き目を見て,「失われた三十年」とも言われる長期停滞が現在にいたるまで続いている。
情技産業に牽引された中国が日本の GDP を抜いてからもう10年以上経つが,昨年には,GAFAM(Google,Amazon,Facebook,Apple,Microsoft)などと呼ばれるアメリカ情技企業数社の時価総額が,二千社を越える東証一部上場企業全体の時価総額を上回った。
かつての日本の繁栄も今の衰退も,やはり日本人の性格によるところが大きいと私は思っている。
工業では,日本人的な,勤勉でよく協調する労働者には大きな価値がある。ありきたりだろうが模倣だろうが,価格に対して高い品質を提供出来る者が勝つ。
例えば,どんなに斬新で独自性に溢れる設計でも,まともにブレーキが効かない自動車には価値が無い。つまらなくても,乗り心地がよく信頼出来る車は必ず売れる。こういったもの作らせれば,いまだに日本人の右に出る集団は無いだろう。
しかし,情技産業,特に柔品の世界ではこれが逆転してしまうことが多い。バグだらけであちこち粗があっても,何か斬新な体験を提供してくれるものは飛ぶように売れる。
面白いもので,そういう荒削りなアメリカ製品が流行ると,日本人技術者達はこぞって「粗探し」を始める。ここが危ない,ここが汚い,などとみんなで言い合って,熱心に“改良”しようとする。そうして確かに丁寧で心地良い模倣品が出来たと思ったら,また新しい波に押し流されてしまう。日本の情技業界は賽の河原だ。
同じ柔品でも,間違いの許されない厳密な動作が要求されるような分野では,実は日本製のものが少なくない。私はいつもそんなところに日本人らしさを感じている。ただ,その手の「縁の下の力持ち」はどうしても知名度が上がらず,利益も上げにくかったりする。
いまだに平成バブルが日本経済を破壊したかのように語られることが多いが,それは原因ではない。
そもそも「バブル」というのは,弾けて,経済が停滞した時に初めて認識されるものだ。バブル自体が問題なのではなく,バブルが弾けた時に底が抜けてしまうような実体経済であったことが問題なのだ。そしてその問題の根は,日本人が工業に“適応”出来過ぎてしまったばかりに脱工業化に遅れたことにある。これも今となっては明らかだ。
アメリカ経済は,日本が「失われた三十年」にあえいでいる間も概ね右肩上がりを続けてきた。株価が高下するたびに「これはバブルなのではないか?」という経済学者達がいる。ところが,アメリカの場合,一つのバブルが弾けたかと思うと,またすぐ次のバブルが膨らんでくる。むしろ,次から次にバブルを作ってそれを推進力にしているかのようですらある。
そんな「バブルジェット経済」とでもいうべき離れ業が可能なのも,情技産業を中心として実際に社会のあちこちで革新を起こし,世界を席巻するような製品,サービスを生み出し続けているからだ。
日本にはそれが出来なかった。ならば,今からでもやればいいのだ。出来なければ,どうせこのままゆっくり衰退を続けるしかないのだから。
一日一文という日課で書くには長くなり過ぎたので,具体的にどうすべきか,という話はまた明日にでも書こう。
デライト収益模体で最後の課題とも言える握接急増対策について,一応の方針が定まった。
デライトの収益化は決して困難なことではないと考えていたが,それには,制御可能な安定拡大を続ける限り,という条件が隠れていた。そもそも人が集まらない場合,あるいは,人が集まり過ぎた場合には予測不能としか言えない。もっとも,いずれにせよ集客の努力はこれからすることなので,今から心配しても仕方ない。今から考えておくべき問題は,その努力の結果,手に負えない握接が集まったらどうするか,ということだ。
そんなことを考えながら,以前にも同じ問題について考えていたことを思い出した。その時から,クラウドの自動拡張等に頼らず,流量制御で対応するつもりだった。
そもそも,希哲社の経営方針からして,投資や貸付に依存した先行投資はやりようがない。手動であれ自動であれ,自力で賄える範囲でサービス拡大を続けるしかない。そのためには,何より支出を抑制することが重要になる。必然といえば必然の結論だ。
そして,幸運にも,希哲社にはそれを可能にする環境がある。13年近くの研究開発の成果を手にしながら,莫大な借金を背負っているわけでもなければ,投資家に急かされているわけでもない。輪郭法はもはや事実上の特許であり,競争上有意な模倣は不可能だろう。
現状,毎月数十万円の収益でもあれば,とりあえずは大成功というくらいデライトも超高効率運用だ。これは下層のブログ生活者程度の収益水準であり,むしろ本気でやって出来ないわけがない。サービス拡大に焦る理由もない。
改めて,デライトの「安定拡大戦略」を明確にして,デライト収益模体は一応の完成をみた。