歴史的な地名と行政上の区域は,一致しないことが普通だ。
例えば,歴史的な意味での「京都」と今日的な意味での「京都市」は異なるし,「鎌倉」と「鎌倉市」も異なる。古都に限らず,合併等で自治体が大きくなると,新名称は中立的なものを考案するか,その地域で最も中心的な地名から取られるかのどちらかであることが多い。もっと大きく見れば,国でも同じことが言える。どんな国でも,一つの通称に対して歴史的には様々な政体があり,領土にしても文化にしても様々な実態を持っていた。それは「~王国」であったり「~帝国」であったり,はたまた「~共和国」であったりするだろう。
先日描いた「和訳における一部ヨーロッパの大学名について」の中でも少し触れたが,このごろ,「市」というのはもう少し厳密に使ったほうが良いのではないかという気がする。特に外国の都市名については,自治体を表わす時は「~市(町・村)」で統一する,といった規則を設けたほうが良いかもしれない。ちょっと違和感もあるかもしれないが……どうだろう。試してみるか。