Twitter 危機を商機に

描主宇田川浩行#F85E
下描き希哲10年(2016年)
02月05日 19:31
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

昨年,「Twitter の衰退を考える」という文章を書いたが,Twitter 社は依然として混乱状態にあるようだ。ついこの間も,幹部数名の一斉退職が報じられ,同社の株価はここ一年ほど常に下落傾向にある。衰退の原因などについては先の文章で論じ尽くしたと思うが,Twitter はそう遠くない将来にサービス終了となる可能性が高いと私は考えている。長く持って3年,早ければ今年中にでもその可能性はある。

Twitter が経営上抱えている大きな問題として,様々な意味で「蓄積」(ストック)が無いということが挙げられる。具体的には主に,データ技術用者(ユーザー)だ。

まず,Twitter は膨大なツイートのデータを抱えているが,これらのほとんどは新鮮さが重要なもので,容易に陳腐化する。有用な情報は外部のサイトにまとめられ,Twitter に留まっているということはほとんど無い。通常のブログウィキなどと違い,まとまった情報を記述することに向いていないため,どうしても価値のある情報が流出してしまう。また,Facebook とも異なり,個人との結びつきが弱く,無意味な情報や信頼性が低い情報が多い。著作権譲渡を明記している匿名掲示板とも異なり,同社がデータを自由に使えるわけではない。つまり,ツイート データは資産として非常に扱いにくいものになっている。

さらに,技術的蓄積という面でも弱い。もともと,Twitter の仕組み自体はごく単純で,模倣が容易なものだ。大量のアクセスを処理するサーバー運用技術には見所があるが,それもインターネット サービス企業の中で同社だけが突出しているわけではないし,それこそ Google の方がはるかに上手だろう。

また,複合的なプラットフォームから独立していた Twitter は,インターネットにおける中立地帯のような側面もあり,用者からみればそれも大きな魅力ではあったが,経営的には用者を固定化し辛いという欠点を抱えていた。ツイート データも容易にログとして保存出来るため,仮に Twitter が潰れてもさほど大きな混乱が生じるとは考えにくい。用者はすぐ他の代替サービスを見つけるだろう。

こうした欠点を抱えつつも同社が競合を退けてきたのは,明確なコンセプトとそれに基くブランディング戦略の巧さにあった。「ツイート」を,新しい交鳴コミュニケーションの形態として一般化させたという点はやはり大きな功績だ。

Twitter に関する楽観的な見方として,有力企業に買収されその傘下で存続するだろう,というものがある。実際,いくつか買収の噂も聞こえてくる。ただし,上述のように Twitter 自体に「蓄積」がない,つまり買収側からみて費用対効果が疑わしいという懸念は拭えない。焦点はおそらく Twitter というブランドをどう評価するかということに絞られるだろうが,そもそも落ち目にあるブランドなので,例えば収益力は弱いが将来性を見込まれていた YouTubeGoogle が支えたようにいくかどうかも怪しい。昨年末,Apple は2年ほど前に買収した Twitter 検索・分析サービスである Topsy のサービスを終了した。その意図は明言されていないが,単純に考えれば Twitter 関連市場の縮小に思える。

絶望視はしないまでも決して楽観視出来る状態ではない,といったところだろう。しかし,これは他の企業にとっては商機でもある。特に,Twitter を活用する用者が多い日本では,大きな受け皿が必要とされるはずだ。日本の IT 企業の真価が試される。

出力論組プログラム虎哲*イチ 1.1号
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