Twitter の衰退を考える

描主宇田川浩行#F85E
下描き希哲9年(2015年)
11月27日 23:59
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

このごろ,Twitter衰退に向かっているのではないか,と話題になることが多くなったように感じる。とはいえ,その理由はほとんど数年前から一部でささやかれていたことで,個人的には驚かなかったのだが,先月10月13日に Twitter 社の人員削減が発表されてから広く認識されるようになったようだ。

かくいう私も,3年前まで Twitter を利用していた。当時,ブログウィキなどに替わる CMS としてデルンを開発していた私は,デルンの運用が可能になるまでの繋ぎとして,手軽な情報発信手段が欲しかったため Twitter を利用していたのだった。当然,あらゆる既成のシステムサービスを超えるものを生み出そうとしていたわけで,当時から Twitter の欠点や限界についてもよく考えていた。

そのような立場から見ると,Twitter の衰退は必然的なものであると思える。

そもそも,Twitter というのは広い視野でみると「完成度の高い,粋振りシンプル)なアイデア商品」という位置付けだったと思う。大きな構想をもって長い時間をかけて開発されていくものというよりは,すでに簡潔にまとまったアイデア,コンセプトがあり,有名になったころにはほぼ完成されていたものだ。それが上手く時代に適合して流行ったが,発展の余地はもともと小さいものだった。いま好調な Facebook との根本的な差はそこにある。

結局のところ,経営者がその現状認識を確かにしていない,ということが最近の Twitter の迷走につながっているのではないかと思う。端的に言えば,Twitter はあくまでも「繋ぎ」と捉えて,より遠い将来を見据えたサービスを新たに立ち上げるべきだった。しかし,いまの Twitter 社は,Twitter を弄くりまわして,成長しないものを無理矢理成長させようとしている。多くの場合,こういうことをやると商品の美点を損い,顧客からの支持を失なっていくが,現状をみる限り Twitter も例外ではないようだ。

Twitter のような「ちょっとしたアイデア商品」は,シリコンバレーなどでは掃いて捨てるほど開発されていて,いわば「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」で流行ることもあるのだが,それだけに流行ったものの開発者事業家経営者として優れているとは限らない。Twitter 社の場合,Twitter が当たったのは良いが,それを超えるような構想力がないように見える。Vine などをみても,やはり小物作りが得意な企業ではあるが,根源的なプラットフォームを創り上げる企業ではないのかもしれないと感じる。

それでも,Twitter 社は上場企業だ。投資家には利益をもたらさなければならない。だから無理矢理にでも Twitter を拡張しようとするし,そうすれば Twitter は「貧弱な Facebook」でしかなくなる。Twitter の機能自体は極めて模倣しやすいものであるにも関わらず,これまで Twitter の地位が揺るがなかったのは,明確で簡潔なコンセプトに基づく「徹案」(デザイン)の力によるところが大きい。いまの Twitter は,その価値と,強いられる成長との間で板挟みになっているのだろう。

出力論組プログラム虎哲*イチ 1.1号
制作・運営:希哲社
© Kitetu 1-10 (2007-2016) KiTetuSha