『PPAP』にみる「ネット芸」評価の難しさ

描主宇田川浩行#F85E
上描き希哲10年(2016年)
10月29日 23:22
下描き希哲10年(2016年)
10月29日 23:05
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

ピコ太郎ことお笑い芸人古坂大魔王さんが YouTube に投稿した動画『PPAP』が世界中で大流行している。日本絡みの今年流行としては,『ポケモン GO』に次ぐ勢いかもしれない。

流行り物の例に漏れず,この作品についても賛否両論渦巻いており,「くだらない芸がたまたま外国人に受けた」というような評価も多い。ただ,私の評価はそこまで低くない。この作品,ちゃんと見ると意外とよく出来ているのだ。古坂さんは,もともと底ぬけ AIR-LINE というコンビで活動していた芸人で,それなりに知名度はあったものの活動休止,それから音楽活動に転じ,現在はピン芸人という面白い経歴の持ち主だ。『PPAP』には,その経歴がしっかり活かされている。ナンセンス ギャグの基本とリズムネタの流行を押さえつつ,耳に残るメロディとフレーズを上手く組み合わせている。滑稽な日本の学校英語を使っているのも面白さの一因だろう。1分程度の作品でかなりチープに見えるが,実は個々の要素がそれなりの水準を満たしている。

さらに特筆すべきは,これがネットのコンテンツとして最適な短かさ・チープ感だということだ。ここまで言うと,物凄くこの作品を絶賛しているようだが,私自身はまったく面白さを感じていない。この文章を書くにあたって,何度か見返してみたが,最初に見たときからずっと無表情でいる。それもそのはずで,ネット コンテンツというのは,マスメディアに乗らないような陳腐なものを能動的に発見して,それを弄って楽しめるということが最大の魅力で,「こんなに面白いものがある」と大々的に紹介されて面白く感じられるわけがないのだ。例えばこれが再生数100回くらいで偶然目にした動画なら,私はもっと面白がっていたと思う。ネット芸,ネット コンテンツとして非常に上手く作られたものだと評価することと,個人的に面白い,楽しいと思えるかどうかは別の問題で,これがこの時代の難しさだと感じる。

出力論組プログラム虎哲*イチ 1.1号
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