最近のちょっとした訳語問題で,カスタム〈custom〉・カスタマイズ〈customize〉をどう訳すかということを考えている。カスタムの原義は「慣習」で,愛顧・顧客(カスタマー)という意味もあるが,カタカナ英語としては「あつらえの」という意味に限って使われることが多い。カスタマイズはその動詞形だ。
私がざっと考案したのは,顧修・顧手・加修・加手・客修・客手・活修……等々だが,この中では「手を加える」をそのまま漢語的表現にした「加手」が最も単純で良いと感じた。「顧」の字は他の用例との相性も良く捨てがたいが,組み合わせる字がいまいち決め手にかける。「顧修」が漢字の意義的により正しいとしても,「加手」の直感性には敵わない気がする。
やや冒険的だが,もう一つ面白いと感じたのは「勝手」を使った語を造るという案だ。これは既に一般的な語であるため「加手」より直感性に優れる語が造れる可能性もあるが,カスタムの意味合いを正しく伝えられるかという不安が残る。
「加手」を暫定案として検討を続ける。