10年代後半のネット動向について

描主宇田川浩行#F85E
上描き希哲9年(2015年)
05月26日 21:53
下描き希哲9年(2015年)
05月26日 18:35
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

このごろ,よく2010年代後半インターネット文化の動向について考える。つまり,今後約5年間のネット動向についてだ。少なくとも可能性としては,3つの大きな変化が起きうるとは考えている。

テキスト・ルネサンス

一つは,テキストへの回帰,いわば「テキスト・ルネサンス」だ。200X年代後半から動画共有サービスが隆盛し,インターネットマルチメディア化はそれなりに達成された。0X年代前半に比べて,画像動画も格段に交換しやすくなり,もはやありふれた献典コンテンツになっている。

その一方で,動画のような重量級献典を中心とした貿事ビジネスの限界も明らかになってきた。動画は非常に直感的で訴求力の強い献典で,社会的にも注目を集めやすいが,単体の事業部門としての収益性は低い。

テキスト データは,例えば1文字2バイトとして計算すると400字詰め原稿用紙1枚分でわずか800バイトだが,画像なら粗末な画質でも100kB(125倍),内容がある動画なら絞り込んでも1MB(1250倍)が限度だ。しかも,テキストは圧縮余地が大きいので適当な圧縮技術を使ってもたやすく数分の一以下の大きさになる。加工・保存・転送にかかる価相コストが全く違う。

また,検索技術もテキストを中心に発展してきたので,検索エンジン上での宣伝効果もテキストの方が期待出来る。

このようなことは,動画共有サービスが隆盛する前から指摘されていたことだが,全ての人にとって未知の世界だったため期待感の方が大きかった。しかし,動画という献典の鈍重さに耐えかねて多くのサービスが迷走していることを考えると,やはり見直しの時期なのだと思う。最近では,映画テレビ番組などの商業作品を直接配信するサービスの存在感も高まっているので,投稿動画に頼りきった鳴体メディアの発展は期待出来ない。

テキスト献典の可能性はまだ探究され尽していない。今後しばらくは,テキストを中心に献典の柱を作り,画像や音声,動画と段階的に射程を拡大していく,という戦略が最有力であり続けるだろう。

「用者生成」からの脱却

もう一つの大きな変化は,「用者生成」からの脱却だ。

これまでのインターネット献典コンテンツは,UGC(用者生成献典)と呼ばれるような,用者ユーザー投稿によるものが主流だった。そしてサービス提供者は,そのプラットフォームを拡大することに主な関心を抱いてきた。実はこの体制も将来的には変わっていく可能性がある。

用者生成の問題点はいくつも指摘できる。例えば,用者層の変化に鳴体メディアの質が依存してしまうことも大きい問題点だ。黎明期には嗅覚の鋭い詮趣センスある用者が集まって場を盛り上げてくれるが,拡大期になると二番煎じのような投稿が増えてつまらなくなってくる,ということは起こりがちだ。

また,犯罪著作権がらみの法的問題を抱えやすくなったり,質の高い献典を集めるには用者への収益分配などが必要になる。結局のところ,他人の著作物に依存している限り安定して高い収益をあげることは出来ないということだ。これを理解して,献典供給に力を入れる企業もあるが,顕著な成功例はみられない。多くの企業は,用者の著作物で人を集めて,後出しのように自社献典を供給しはじめるので,用者によって成り立っている媒体の影響力に提供企業の貧弱な制作力が便乗しているだけ,という実態になりやすい。企業が下手な自社献典で用者の興を削いでしまえば元も子もない。

つまり,これからはサービス提供者に献典制作者としての資質が求められていくということだ。自社制作の献典を中心として利益を着実に確保し,鳴体の指針をしっかり示しながら,その機能を段階的に公開し,用者とともに文化を形成していく,というのが理想だ。

統合指向

最後に,統合指向への転換も見逃せない変化だ。

どんな文化にも,開拓期と統合期の循環がある。開拓期には,開拓者たちの自由な模索によって,様々な方法が編み出される。開拓期が進行するにつれ,新しい発見による利益よりも,不統一による混乱や煩雑さが問題になってくる。そこで,各々の方法を整理統合する必要が生じ,統合期に入る。

これはそのままインターネットにもあてはまる。乱立している様々な形態のサービスを,いかにシームレスに統合出来るか,ということが重要な課題になる。

テキストと自社献典を中心に,長期戦に耐えうる足場を固め,あらゆる種類のサービスを統合していく。これは,10年代後半のインターネット サービスにおける最も有力な戦略といえるだろう。

出力論組プログラム虎哲*イチ 1.1号
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