サービスや製品を「基本無料」で提供して幅広く顧客を集め,必須ではないがより高度な選択肢を有料で提供するビジネスモデル。英語のフリー(free)とプレミアム(premium)のかばん語。
無料提供は新規顧客獲得のためのコストであるため,市場拡大期に強いが市場停滞期に弱いという問題がある。実態は提供企業の経営状態に依存しやすく,無料提供範囲も曖昧で恣意的に変更されやすい。PKMS など用者との長期的な信頼関係が必要なサービスでは足枷になることもある。
インターネットでは2000年代から流行したビジネスモデルだが,当時は多くのサービス分野が未開拓で市場開拓が必要であったこと,技術的負債が軽視されていたこと,用者にとっても未知の体験であったため持続性が問題視されなかったことなどから「フリーミアム幻想」とでもいうべき楽観的な雰囲気があった。
2010年代後半頃から,フリーミアムで一定の成功を収めたものの伸び悩みに直面した企業が無料提供範囲の大幅縮小に踏み切る事例が相次いでいる。その顕著な例の一つが Evernote であり,これをデライトも含めた PKMS 市場全体の信用にかかわる問題とみた宇田川は,フリーミアムを経営哲学や設計哲学にまで徹底化した「フリーソフィー」(freesophy)を提唱している。