- こわだて【強立て】
- クーデター(coup d'état)の希哲館訳語。
フランス語に由来する「クーデター」は,典型的には体制内部で武力によって最高権力者が交替することを指す。これもよく使われるが明確な訳語の存在しないカタカナ語だ。「(下が上を)食う出た」というのも流石に安直過ぎるので,まともな訳語を考えてみた。
はじめ,「デター」の部分を「奪」として漢字語案をいろいろ考えてみたが,なかなか上手くいかない。攻奪,抗奪交奪,克奪,更奪,局奪,高奪……どれも帯に短し襷に長しといった感じだ。漢字語では抽象性が乏しくなるので,次に大和言葉で考えてみる。
食い立て,越え立て,壊し立てと来て,「強立て」(こわだて)に行き着いた。強張り,強面(こわもて)の「強」(こわ)だ。「荒立てる」や「企て」に近い語感もあり,暴力的な政変を連想しやすいためか,妙に気に入った。今後,私はクーデターを強立てと表現していきたい。