ある御理積みとしてのアルゴリズム

描主宇田川浩行#F85E
下描き希哲10年(2016年)
06月03日 13:01
利承
ライセンス
希哲館普通利承(KULクール

アルゴリズム〈algorithm〉なる言葉がある。数学情報処理の分野では馴染み深い言葉で,定式化された計算手順を意味する。希哲前12世紀9世紀)にバグダードで活躍した学者アル=フワーリズミーの名に由来することはよく知られている。私の訳語の中でも原語が人名に由来するものは珍しいが,いつも通りの蛮勇をもって翻訳を試みた。

まず,「アル」の音は無視して良いだろうと考えた。これはアラビア語定冠詞で固有性に乏しく,大和言葉日本漢字音における選択肢もほとんど無い。つまり,音声的には「ゴリズム」に注目することにした。

最初の語案は制御を使った「御律ぎょりつ」だった。次いで「御理ぎょり」,「理順りじゅん」を考えた。理順は「処理手順」の略としても読めて悪くない。しかし,決め手に欠ける。そこで大和言葉を使うことを考えた。

そして「理積りづ」が生まれた。「理詰め」に似た言葉だが,アルゴリズムにおいて重要な順序性を順序的な動作である「積み」で表現出来ている。すなわち,アルゴリズムとは積み上げられたのことと言える。御律や理順に比べて,音声的な直感性にも優れている。「ぎょりつ」は漢字を見るまで意味が分からないし,「りじゅん」と聞けば多くの人は利益の方の利潤を連想するだろう。既に理詰めという言葉があることにもよるが,「りづみ」という音声から「理」と「積み」を連想するのはより容易い。

これを考えたのは実は3月末だったのだが,確信を深めるためしばらく寝かせておいた。いま一度再考してみるに,やはりアルゴリズムの適訳は「理積み」以外に無いだろう。アルゴリズムを「ある御理積み」として見極めた。

出力論組プログラム虎哲*イチ 1.1号
制作・運営:希哲社
© Kitetu 1-10 (2007-2016) KiTetuSha