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{「シネコン」をどう訳すか K#F85E/2510-5686}

日頃,技術用語など実用的な翻訳について書くことが多いので,たまには息抜きがてら娯楽系の翻訳についても書こうと思う。

さっきふと「シネマ コンプレックス」(シネコン)というカタカナ語が目に入り,上手く訳せないか少し考えていた。シネコンとは,一定数以上のスクリーンを同一施設で統合的に提供する入れ替え制映画館で,つまり現在一般的な映画館のことだ。「コンプレックス」自体は大分前に「混複」(こんぷく)と訳しているので,単純に置き換えれば「映画混複」ということになるが,あまり楽しそうな語感ではない。

「シネコン」の「コン」がそのまま「」の字で音写出来るため,「シネ」の部分を上手く使えば洒落た訳語が出来そうだと考えた。漢字一字なら「シン」かそれに近い漢字音を使うことになるが,なかなかぴったりの字が見つからない。そこで,「シネ」を「シン・エイ」のように分解して考える。映画館なので,「エイ」ならば「」だろう。ここまで来れば,「○映館」の穴埋め問題となる。

最初に「集映館」(しゅうえいかん)を考えた。ごく平易で分かりやすい訳語ではあるが,出来れば「シン」を使いたいところだ。そこで考えたのが「森映館」(しんえいかん)だ。いわば「森立映画館」の意で,語感も魅惑的だ。もう一つ,同音異字で「親映館」(親和映画館)というのも考えたが,やはり「森映館」の方が楽しそうだ。問題があるとすれば,一般的なシネコンは「」というほどスクリーンがあるわけではない,ということだが,これは雰囲気の問題だと捉えてほしい。