コンピューター用語のロック〈lock〉は,ファイルなどの整合性を確保するために操作を一時的に禁止することを指すが,これに「勒」(ろく)という漢字を当てられるのではないかと考えている。
勒というのは,馬に手綱を付けるための馬具(馬勒,くつわ)を意味する字だが,ここから制御する,(書き)留めるといった意味で「勒する」という使い方もある。これを応用すると,例えば「ファイルをロックする」は「ファイルを勒する」とも表現出来そうだ。
私の一字訳語には他にも論組〈プログラム〉のバグ〈〈bug〉〉を意味する「駁」(ばく)というのがある。これも馬に関する字で,毛色が整っていないまだら馬を意味したが,ここから不純物が入り混じること,反対すること(論駁・反駁)という意味でも使われるようになった。本来,バグというのは英語で虫のことだが,機械の欠陥を悪い虫のように表現していたことから現在のいわゆる「バグ」となっている。面白いことに,バグと駁にも通じるところがある。