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{「根想」としてのコンセプト K#F85E/2503-2BCB}

日本語において,コンセプト〈concept〉というカタカナ英語は「企画された物事に与えられた包括的な意味」という使われ方をすることが多い。「概念」と訳されることも多いものの,これはやや学術的な印象を与えるためか,商業的にはあまり好まれない。説明の仕方は色々あるが,私が一言で表現するなら「企画意図」だ。例えば,「コンセプトが伝わる」というような使われ方をする場合,受け手にとっての意味というより送り手の「意図」に重点がある。

私は,この意味でのコンセプトに「根想こんそうという訳語を与えてみることにした。意味はそのまま,「根にある想い」だ。これまでも,魂設観説観設懇想……などという訳語を考えてはいたのだが,どれも語感が重々しく積極的に使う気にはなれなかった。今日,「」の字を使うことを思い付いて「」と組み合わせてみたら意外と柔らかく良い語感になった。

「根想」に似た私の訳語としては,「デザイン」にあてた「徹案てつあん,「ビジョン」にあてた「備像びぞうがある。どれも,計画された思想に関する語で,日本人がいま一番必要としているものかもしれない。